REPORT
#02
fav 函館
あなたのルーティンも
すべて受け止めてくれる。
その独特な色彩で、世界のアートファンから熱視線を浴びる作家・衣笠泰介さん。
知的障害がありながらも家族と一緒に旅行をするのが大好きで、これまで国内はもちろん、
世界各国を巡ってはそこで見た景色や感じたことをキャンバスに描いてきました。
加えて、旅先での宿泊場所にひときわ強いこだわりを持っている衣笠さん。
そんな彼が今回宿泊したのは「fav 函館」。
家族へのインタビューを通して、そのインプレッションをご紹介します。
衣笠 泰介さん
Taisuke Kinugasa
生きることは描くこと。家族と世界各地を旅するなかで目にした景色を、光と色彩に溢れた独自の世界観で描き出す。マジカルとも評される色彩感覚と感受性を持ち、何百色もの絵の具から瞬時に色を選んで描き上げる。そのアートワークは国内外で高い評価を得ており、京都上御霊神社と京都御所内白雲神社の絵馬所には、大作絵馬が奉納されている。
Instagram:@kinugasataisuke_art
( CHAPTER-1 )観光とショッピングを
最大限楽しめる
fav 函館。
函館空港から車で20分、函館駅から徒歩5分の場所に位置する「fav 函館」。目と鼻の先には函館名物の朝市やローカルの人気レストラン「ラッキーピエロ」などもあり、ショッピングや飲食にはことかきません。
都市型ホテルとしては低層の5階建てで、でっかい北海道らしく、部屋も広々。
大通りから一本入った場所にあるため周辺も静かで、窓が開け放たれたエントランスでは、北海道の乾いた風を浴びながら落ち着いた時間を過ごすことができます。
どんな旅のスタイルでも、家族構成であっても、みんなが快適に過ごせるよう9種類の客室が用意された「fav 函館」。一部ペット可の部屋もあります。ヘラルボニーのアートが飾られているのは、スーペリアツイン、2段のベッドが並ぶスタンダードバンクの2部屋です。
( CHAPTER-2 )家でのルーティンを
旅先でも。
知る人ぞ知る売れっ子作家である衣笠さん。全国からオファーが届き、これまでも沖縄から北海道まで各地で個展を開催してきました。旅行が大好きで、暇を見つけては両親とともに見知らぬ場所へ足を運び、絵のインスピレーションを得てきました。
自閉症のある方の特徴のひとつに「特定のモノやコトに、強いこだわりを持つ」というものがあります。衣笠さんも例に漏れず、宿泊するホテルもその視点で選ぶと母親である珠美さんは言います。
「泰介はルーティンがいろいろあるんですけど、そのひとつがシャワーなんです。お風呂に入っているときに、とにかくシャワーをそこら中に巻き散らかしたい(笑)。だからユニットバスだとダメで、お風呂も広いほうがいいですね」
今回、3人が宿泊したバンクタイプの部屋のお風呂は広々設計。バスタブは通常サイズよりひと周り大きく、洗い場もゆったりしていて、大きな窓からは函館の景色ものぞめます。だから、いつも以上にシャワーを撒き散らして大丈夫。
落書きするのも旅先でのルーティンのひとつです。
「旅は、いつもとは違う景色に出会えるし刺激もたくさんあります。昔は、そうした情景や思いをホテルに持ち帰って描き出すことも多かったんです。だから、机があるというのもホテル選びのポイントのひとつかもしれません。いまは落書き程度になりましたけど、描くことは泰介の生活になくてはならないものだから」
家族みんなで、泰介さんが描く予測不能な文字や絵を見守る。京都で送るそうした日常も、暮らすように滞在できる「fav」なら再現することができます。なお、「fav」の客室は土足厳禁。地べたに抵抗なく座ることができるのもうれしいポイントだと言います。
また、YouTubeを次々と見ることも大切なルーティンのひとつで、仕掛け時計やプラモデルの動画を見続け、電源がなくなることもしばしば。だから客室内コンセントの充実度もホテルを選ぶ際の大事な要素。「fav」のバンクルームは各所にコンセントが配置され、大人数で宿泊しても電源の取り合いになることもありません。
「実は、以前鹿児島に行った際も偶然『fav』に泊まったんです。泰介は好き嫌いがはっきりしているんですけど、そのときも普段のルーティンを崩されないのが良かったのか、とても気に入っている様子でした。函館もですが、活動が制限されない作りがいいのだと思います。私たち夫婦と泰介の3人、それぞれ思い思いに過ごせますから」
( CHAPTER-3 )ヘラルボニーと
ライセンス契約をしてから、
活動の幅がグッと広がった。
「fav」と「ヘラルボニー」は、さまざまな地でコラボレーションルームを展開。ここ「fav 函館」にもヘラルボニールームが2部屋用意されています。飾られているアートピースはその土地をイメージしたもので、函館には佐々木早苗さんや肥後深雪さんなどの作品が飾られています。
かくいう衣笠さんも「ヘラルボニー」と契約するアーティストのひとり。関係がはじまったのは2021年。
「これまでは、周りのみなさんの応援を借りながら活動していました。その輪が遠心力で大きく広がっていっている実感はあったんですが、『ヘラルボニー』と契約したことで、いままではできなかった大きなイベントに参加させていただいたり、企業とのコラボレーションも確実に増えました。おかげさまで、いままで以上にたくさんの人に作品を見てもらえているので、それが泰介の力になっていると思います」
衣笠さんが描く絵は、ピュアで、力強くて、見るだけで元気がもらえる。「fav 函館」のエントランスにはウェルカムアートとして、そんな彼の絵が飾られています。
今回の旅を元に描かれた函館の街並みが、ここに飾られる日もそう遠くないかもしれません。
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