REPORT
#03
FAV LUX 長崎
誰もが、それぞれの時間を楽しめる。
FAV LUX 長崎での過ごし方。
古くから海外との交易で栄え、日本の窓口としての役割を担ってきた長崎県長崎市。
その影響もあり、現在も街のいたるところで異国の情緒を感じられ、
歴史的建造物も多く、国内外から多くの観光客が訪れている。
その中心地にある「FAV LUX 長崎」に、作家やコメンテーターとして活躍する岸田奈美さんと
その家族をご招待した。岸田さんファミリーは、「FAV LUX 長崎」をどう使う?
岸田 奈美さん
Nami Kishida
1991年生まれ、兵庫県出身。車椅子ユーザーの母とダウン症である弟との暮らしを描いたnoteの投稿が話題を呼び、のちに『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』のタイトルで書籍化、2023年にはドラマ化もされた。現在は作家としての活動のほか、テレビでのコメンテーターや大学の客員教授も務める。
Instagram:@kishidanami
( CHAPTER-1 )グラバー園の坂を降りた先。
観光に便利な場所にある
FAV LUX 長崎。
フランシスコ・ザビエルがキリスト教を布教するために長崎を訪れたのが1550年。そこから長崎は日本の「窓」として海外からやってくる船を受け入れ、鎖国時代も日本で唯一開港しており、発展を続けてきた。
そんな街を代表する観光スポット「グラバー園」の麓に「FAV LUX 長崎」はある。「fav」と同様、誰でも快適に過ごせる客室のデザインはそのままに、よりスタイリッシュに、より快適に。特筆すべきは一階にある「JUNE COFFEE」とプライベートサウナだ。
地元で絶大な人気を誇り、行列することも珍しくない「JUNE COFFEE」が一階に入店し、ここでしか食べられないオリジナルのパンやスイーツを提供。プライベートサウナは、編集者でありサウナ研究科である草彅洋平さんが監修し、サウナ室や水風呂のセッティングはもちろん、デトックスウォーターや大きなソファとテレビが用意されていたりと、いたれり尽くせり。
そんな場所にやってきた岸田奈美さんと、その家族。
( CHAPTER-2 )ユニバーサルルーム
なのに、
スタイリッシュ。
病気の後遺症で車椅子生活となった母と、ダウン症の弟をもつ岸田奈美さん。現在は、そんな家族たちとの生活を描いたエッセイの執筆や、テレビ番組等のコメンテーターとして活躍している。
そしてこの岸田ファミリー、とても仲がいい。普段から一緒にいるし、3人で旅行することも少なくない。
「年に、3、4回ぐらいはみんなで旅行しています。そのうち海外が1回。去年も、テレビ番組の取材がてらホノルルマラソンを走ったんですけど、3人一緒でしたね。エッセイで書くことすべてが作品や仕事になるし、必ずなにかしら起こるんで(笑)。可能な限りみんなで行きたいんです」
とはいえ、障害があるとなると、相応のハードルがある。特に旅先のホテル選びは、車椅子を使う母・ひろ実さんにとって旅の良し悪しを左右する大事なポイントだ。段差はないか、ベッドの高さはどうか、バスタブはあるのか、鏡の高さはどうか……。チェックしなければいけない項目は多い。
「これまでもいろいろ失敗してきたんですけど、そのなかで見つけたのが全国に展開するビジネスホテル。ユニバーサルルームは全国どこの館に行ってもほとんど同じだし、スタッフの方も対応に慣れているから安心なんです」と、ひろ実さん。
一方で、ビジネスホテルはチェーン店が多く、せっかくの旅行で他の地方に行っても、内装は同じで、アメニティはシンプルになりがち。そこで選択肢になりえるのが「FAV LUX」だ。
「『FAV LUX』のユニバーサルルームは考えられていると思います。段差がなかったり通路が広いことはもちろん、デスクや洗面所は足が抜かれているので車椅子に乗ったまま使えますし。ただ、一番良かったのはスタイリッシュな雰囲気。ユニバーサルルームは、どうしても福祉施設のような雰囲気になってしまいがち。だけど、『FAV LUX』はエントランスから客室まで内装がおしゃれで、本当に感動しました」
もちろん、ハイエンドなホテルに泊まればいくらでもスタイリッシュなユニバーサルルームはある。ただし『FAV LUX』は、良心的なプライスながら、ビジネスホテルでは感じられない贅沢な空間を提供している。そしてもうひとつ、ひろ実さんが感動したものが一階にある。
「1階に車椅子トイレがあるのには感動しました。一階のカフェを使えば誰でも使うことができるから、何かあったときはここに行けば安心。車椅子ユーザーは、トイレのことを常に気にしながら行動するんです。どこでトイレに行けるかで、 どれぐらい水分を取っていいかを考える。ひとつでもこういう場所があるのは、本当にありがたいんです」
そのカフェというのが「JUNE COFFEE」。朝7時から夜20時までの営業で、パンやケーキ、コーヒーなどを提供している。トイレがあるのもそうだが、一階にカフェがあるメリットを岸田さんはこう話す。
「朝は特に食欲がバラバラじゃないですか。なので1階にカフェがあるのはめちゃくちゃ便利。食べたい人だけ食べられるし、外出が面倒くさければ、そこで済ませることだってできる。しかも、パンもケーキもめちゃくちゃ美味しくて。結果、一泊二日で3回も利用しました(笑)」
ともに宿泊する人数が多くなればなるほど、やりたいことも違ってくるし、お腹が空くタイミングが違えば、休憩時間も違う。けれど「FAV LUX 長崎」は、観光名所や土産屋が徒歩圏内にあり、一階にはベーカリーとサウナがある。それこそ飲み屋だって近い。アクティブ派もインドア派も、障害があろうとなかろうと、誰でも受け入れてくれるホテル、それが「FAV LUX」なのだ。
( CHAPTER-3 )ヘラルボニーと
岸田さんのつながり。
この度はじまった「fav × HERLABONY」は、favと福祉を起点に新たな文化をつくる「ヘラルボニー」の共同プロジェクト。客室内に「ヘラルボニー」が契約する作家のアートピースを飾り、その部屋の宿泊料の一部が、展示されている作家へ報酬として支払われる仕組みだ。
そして今回、岸田さんファミリーが宿泊したのも、ヘラルボニーのアートが飾られているお部屋。実は岸田さん、ヘラルボニーとは古くから関係がある。
「大学時代に『ミライロ』という、バリアフリーのアドバイスをする会社の創業メンバーになったんです。そういうコンセプトだから、関連する会社の情報がたくさん入ってくるんです。そのときに『ヘラルボニー』の噂は聞いていたし、(松田)崇弥さん(ヘラルボニー代表取締役)ともSNSで繋がったりして。そして私が2020年に会社を辞めたときに、崇弥さんからヘラルボニー契約作家のアート作品スカーフをいただいたんですよね」
そこから、テレビ出演時にも「ヘラルボニー」の衣装を身に纏い、崇弥さんとトークイベントを行ったりと親交を深めていった。いまでは兄弟と間違われるほど、仲がいいとか。
3人の部屋に飾られているのは、鳥取県在住の作家・福井将宏さんの作品。20年近くにわたり書き続けている花の絵は、大胆な色使いがなによりも特徴的。母のひろ実さんの言葉通り、ユニバーサルルームという無機質になりがちな空間を、よりスタイリッシュに一変させてくれている。
「『ヘラルボニー』だからではなく、アートとしてやっぱり最高ですよ。しかも、ここに泊まる人たちは障害のあるご家族だったり、当事者だったりするでしょ? その人たちがこうした作品を見たり『ヘラルボニー』の存在を知ることで、いろんな気づきになると思うし、希望にもなると思う。しかも契約している作家さんにもお金が入る。いいことづくめじゃないですか!」
「fav」は将来、全国47都道府県にホテルを建てることを目標にしている。もちろん、これから作るすべてのホテルに「ヘラルボニー」のアートが飾られ、ユニバーサルルームを設ける予定だ。健常者はもちろん、障害のある人たちにとっても居心地のいい場所を作り、多くの人たちの定宿になれるように。
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